「単語を覚える」から「単語を理解する」へ
最近、今井むつみ氏の『アブダクション英語学習法』が注目されています。
この学習法で私が特に共感したのは、
「単語は丸暗記するものではなく、多くの文脈の中で意味を理解するもの」
という考え方です。
多くの生徒は、単語帳で
run = 走る
take = 取る
happy = うれしい
というように、日本語を一つだけ覚えてしまいます。
しかし、実際の英語では、一つの単語を知っているだけでは十分ではありません。
今井氏は著書の中で、happy の誤用について紹介しています。
「happy=うれしい」と覚えている高校生が、
「手紙を受け取ってうれしい」という日本語を、
Getting a letter is happy.
It is happy for me to receive a letter.
と英訳したそうです。
もちろん、この高校生は happy という単語を知っています。
むしろ、多くの高校生はこれより難しい英単語もたくさん暗記しています。
それでも正しく英語を書けないのは、単語の意味だけを覚え、
その単語がどのような文の形で、どのような場面で使われるのかまで理解できていないからです。
つまり、単語は「点」で覚えるのではなく、「面」で理解することが大切なのです。
私の教室でも実践している指導法
私は以前から、高3生を中心に、長文読解を軸とした英語指導を行っています。
その際、生徒には必ず
「単語帳に書かれている意味だけで判断しないこと」
と伝えています。
長文の中で分からない単語が出てきたら、辞書を開き、
その単語の意味だけでなく、例文や用例まで読むよう指導しています。
辞書には、その単語がどのような場面で使われ、どんな言葉と結び付きやすいのかが数多く掲載されています。
こうした用例を読むことで、生徒は単語を「知っている」状態から、
「使い方まで理解している」状態へと成長していきます。
長文読解は最高の「コーパス」
今井氏は、コーパス(実際の英語データ)を利用し、
多くの実例から単語や表現の使われ方を学ぶことを重視しています。
私は、長文読解そのものが、生徒にとって最も身近で実践的な「コーパス」になると考えています。
一つの単語に何度も出会い、異なる文脈で意味を考え、辞書の用例と照らし合わせながら理解を深める。
この積み重ねによって、単語は単なる暗記項目ではなく、「自分で使える知識」へと変わっていきます。
本当に伸びる英語力とは
入試では、単語帳に載っている日本語訳を知っているだけでは対応できない問題が増えています。
求められているのは、文章全体の流れの中で単語の意味を推測し、最も自然な意味を選び取る力です。
だからこそ私は、長文読解を通して、「辞書を使い、用例を読み、文脈の中で単語を理解する」
という学習を大切にしています。
単語を「点」で覚える勉強から、「面」で理解する勉強へ
この積み重ねこそが、英語を本当に読めるようになり、使えるようになるための最短ルートだと考えています。
結果が、この指導法を証明してくれました
今年の共通テストでは、当教室から英語リーディングを受験した5名中2名が満点(100点)という結果を残しました。
もちろん、これは単に英単語をたくさん暗記したからではありません。
実は、私はこれまで一度も「単語帳で英単語をひたすら暗記しなさい」という指導をしたことがありません。
大切にしてきたのは、文章全体を読み、文脈から単語や表現の意味を正確に捉える力を育てることです。
共通テストは、単語の知識量だけで高得点が取れる試験ではありません。
文章を読みながら意味を組み立て、推測し、判断する力が問われます。
だからこそ、「単語を面で理解する」という学習法は、現在の大学入試と非常に相性がよいと考えています。
本当に必要な学びとは
単語帳の単語をただ覚えるだけでは、本当の英語力は身につきません。
大切なのは、多くの英文に触れ、自分で考え、辞書の用例も参考にしながら
単語の意味を少しずつ広げていくことです。
今井むつみ氏の『アブダクション英語学習法』が提唱する考え方は、まさにその重要性を示しています。
当教室でもこれからも、「点」の暗記ではなく「面」で理解する英語学習を大切にし、
生徒たちが本物の英語力を身につけられるよう指導していきたいと思います。
