私立高校の一般入試における地域間の公平性について
2026年度(令和8年度)の東洋大牛久高校の一般入試では、例年に比べて合格率が大幅に低下しました。
過去の入試結果と比較すると、以下のとおりです。
入試年度 一般入試の受験者数 合格者数 合格率
2024年度 1,332人 1,311人 約98.4%
2025年度 1,534人 1,393人 約90.8%
2026年度 1,640人 986人 約60.1%
2026年度は、単願推薦の志願者が増加しました。
その背景には、高校授業料の実質無償化の影響もあったと考えられます。
単願推薦の志願者が増えたことで一般入試の募集枠が縮小し、その結果一般入試の合格率が低下した可能性があります。
東洋大牛久高校は、立地条件から茨城県と千葉県の双方から多くの受験生を集めています。
しかし、今回の合格率低下は、特に茨城県からの受験生にとって大きな影響を及ぼしたと考えられます。
その背景として、千葉県の中学生には「併願推薦」という入試方式が設けられている一方、
茨城県の中学生は同じ方式を利用できないという制度上の違いがあります。
併願推薦とは、他の高校との併願を前提とする推薦入試であり、一般に、推薦入試を実施する私立高校を併願先とし、
第一志望の公立高校が不合格となった場合には、その私立高校に進学することを前提とした制度です。
多くの受験生がこの制度を利用しています。
一方、茨城県の受験生は同じ併願推薦制度を利用できず、一般入試など別の方式で合格を目指すことになります。
その結果、併願推薦によって合格者が確保される一方で、一般入試の募集枠が限られ、
茨城県の受験生が少ない合格枠を争う状況になっている可能性があります。
同じ高校を併願先として考えていても、居住する県によって利用できる入試方式が異なり、
合格の見通しにも大きな差が生じるのであれば、不公平な状況が生まれていると言わざるを得ません。
併願推薦の制度自体は以前から存在していました。
しかし、高校授業料の実質無償化によって私立高校を選択する受験生が増え、推薦入試の志願者が増加した場合、
一般入試の募集枠が狭まり、地域による不公平感がこれまで以上に強まることが懸念されます。
また、高校授業料の実質無償化によって私立高校への進学希望者が増加すれば、
千葉県の受験生に対して併願推薦制度を設けている他の私立高校でも、同様の問題が生じる可能性があります。
その結果、受験生が併願校として選んだ高校に不合格となり、進路の再検討を迫られるケースも増えるかもしれません。
こうした状況は、中学校における進路指導を難しくするだけでなく、
受験生や保護者が安心して受験校を選ぶことを困難にします。
私立高校には、それぞれの募集方針や入試制度を定める裁量があります。
しかし、県境を越えて広く受験生を募集するのであれば、
地域によって受験機会や合格の見通しに大きな差が生じていないか、検証する必要があるのではないでしょうか。
居住する地域によって不合理な不利益が生じることのない、公平で透明性の高い入試制度が求められます。
