宿題に取り組む際の注意点
最近周辺の中学校では「自主学習」という名目で宿題をマストにせず本人に任せるようになってきているようです。
例えば中学1年生は、ただでさえ小学校と勝手が違うことが多いため、
どんな勉強をどんなふうに進めたらよいか分からない子がほとんどです。
そこで、いきなり自分で計画を立てて勉強しましょうというのは、さすがに無理があります。
しかも、せっかく自主的に問題集をやっても、ちゃんとできたかどうかを学校でチェックしてもらうことも、
先生からフィードバックをもらうことも無いようです。
その結果、次第にいい加減になったり、やらなくなったりする生徒が増えているように感じます。
宿題に関するこれまでの研究で、実際に宿題に取り組む量と成績には有意な関係があることが分かっています。
学校がたくさん宿題を出しても、子どもがそれをただこなすだけなら効果は期待できませんが、
内容や量が適切で子どもがきちんと取り組んだ場合は、成績向上につながるようです。
宿題はやり方次第で効果が期待できるのです。
宿題にはデメリットもあります。「ただ回数をこなせばいい」といった誤った考え方や、
「答えを丸写しする」といった誤った学習法が定着しかねないこと、
そして、ワークをただ終わらせて良い評価を得るためだけにやるなど目的がすり替わってしまうことです。
大切なのは、本来の目的にそって宿題をやること、
つまり「目的意識」を持って行えば、期待した効果が得られるということです。
効果のある宿題の最大のポイントは、「目的意識」のひと言に尽きます。
宿題のねらいは、勉強した内容を復習したり、弱点を補ったりすることだからです。
<目的意識を持った宿題のポイント>
・学力レベルにあった内容
・適切なフィードバックがある
・学びにつながるやり方
例えば、漢字学習や計算練習などで、ドリル学習が必要な子もいればそうでない子もいます。
定期テストで高得点をとれる子には、このようなドリル学習は不向きです。
しかし、基礎的な内容理解が不十分な子には有効なやり方です。
また、宿題は少なすぎても効果はないですし多すぎても負担になるだけです。
そして、適切なフィードバックも大切です。
例えば、漢字の間違いや英単語のスペルミスなどがないかなどです。
特に中学1年生は、漢字や英単語を間違ったまま覚えてしまうことが多く、
答え合わせや間違い直しができない子も少なくありません。
中には、何ページも答え合わせをしていなかったり、
極端な例では、間違っているのに丸をつけていたりする子もいます。
数学では、途中の計算式や考え方を書いていない子も少なくありません。
途中の計算式や考え方を書くことで、答えが間違っていた時に自らその過程を振り返り気づきに繋げることができます。
そのように進められているかどうか第三者による定期的なチェックや適切なフィードバックは必要不可欠です。
また、ただ問題集に取り組むだけでなく、間違えた問題やわからないことがあったときに、
解き直しをしたり調べたりするなど、学びにつながるやり方であるかどうかも重要です。
つまり問題なのは宿題の“有無”よりも“取り組み方”です。
宿題が「家庭学習」や「自主学習」へと名前を変えようとも、
大切なのは「何のためにやるのか」という宿題のねらいと、
それを達成するためのやり方が適切かどうかという「目的意識」にあります。
宿題の目的を認識し、その目的に合ったやり方かどうか考えて取り組むようにしましょう。