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共通テストは出題方針を変更すべき

今年で共通テストは開始から3回行われました。

私自身は「共通一次試験」世代で、「共通一次試験」はその名の通り国公立試験の一次試験として行われていました。
全教科基礎学力を問う問題であり、その後各大学で実施される二次試験で
それぞれの大学が求める学力を問うという仕組みです。
それがその後「センター試験」となり、私立大学もアラカルト方式で利用できるようになりましたが、
問題の形式や難易度は大きく変わらず、国公立を目指す生徒にとっては名称が変わった程度の変化でした。

近年になり、知識偏重に対する批判や、思考力や表現力を問うことの必要性から、
そういった内容を取り込むべく「共通テスト」が作成されました。
その過程では、表現力を問うために記述式を一部導入しようとしましたが、様々な問題が浮上して頓挫しました。
併せて民間英語試験も導入しようとしましたが、それも頓挫し、その残骸として残ったのが今の共通テスト英語です。

そうやって出来上がった共通テストですが、私自身は大きな違和感を感じています。
第一回から2年が経つのに、全く改善されません。
共通テストは「知識問題」と言われることを回避しようとして、会話文を読ませたり、
複数資料を比較対照させたりするという形式になっています。
会話文や資料の中から手際良く条件を抜き出すようなテクニックが必要になります。
そのようなテクニックの有無を問うような試験が「思考力」を問う試験なのでしょうか。
そして全大学が共通して求める基礎学力なのでしょうか。
さらには試験時間にも問題があります。思考力を測りたいと言ってるのに、特に英語と数学は時間が無さすぎます。
せめて偏差値50程度の生徒が途中分からない問題があったにしても最後まで終わるくらいの分量にすべきです。
思考力を測りたいなら、同じ時間であれば問題を減らしてじっくり考えさせる問題を出題すべきです。
しかしそうすると問題数が減少し、マークシート形式が故に運の要素が大きくなり試験として成立しなくなるでしょう。
「思考力」の定義が曖昧なまま、「知識偏重」という言葉に象徴される根拠のない「知識からの回避」
が現行の共通テストを生み出したように思います。

昨年度の共通テストの問題評価・分析報告書の中に、英語について「英文を一字一句読むのではなく、
必要な情報を短時間で把握することが必要になる場合がある」と書かれています。
元々正確に読むことが出来ない人が、速読をしようとしても絶対に正確に読めるようにはなりません。
単にいい加減に読む癖がつくだけです。
そんな英語の読み方をせざるを得ない試験が英語の基礎学力を測る試験として果たして適切でしょうか。
本当の意味での速読は精読の土台があって初めて可能だと思います。

また難易度が高すぎて、学力高位層の得点差が広がり、逆に学力中低位の生徒は差がつかなくなりました。
学力高位層が受験する国公立大学は二次重視の大学が多く、中低位層が受験する大学は一次重視、
もしくは一次二次を同等に見る大学が多いので、そのこととも噛み合っていません。

私は以前のセンター試験に戻すべきだと思っています。
センター試験は長年の経験・知識が蓄積され、出題内容がかなり洗練されていたと思います。
センター試験が知識のアウトプットばかりで思考力を全く求めていなかったとは思いませんし、
それ以上の思考力は各大学が二次試験で求めればいい話です。
英語の試験も今のような英語民間試験を入れるのに失敗した残骸のような試験は中途半端です。

いずれにせよ現行の共通テストは、大学入学のための基礎学力を測るテストとして原点回帰すべきだと思います。

とはいえ高校生にとっては現行の共通テストに向けて対策していくしかありません。
どんな試験にも柔軟に対応できる力を早いうちからつけていきましょう。

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