年内入試に変化の兆し
成蹊大学が、2027年春入学者向けに予定していた総合型選抜の導入を見送ると発表したそうです。
成蹊大学はもともと、2科目の学力試験を課す総合型選抜を新設する予定でした。
しかし、文部科学省が2025年5月に、総合型選抜では面接の実施を義務づける方針を示したことで、
大学側は「面接を新たに組み込むことは、日程や運営体制の面で難しい」と判断し、導入を見送ったようです。
2025年、東洋大学の「学校推薦入試 基礎学力テスト型」は、面接なし、小論文なし、評定平均の厳しい条件もなく、
しかも併願可能という内容で大きな話題になりました。
その結果、募集578人に対して2万人以上が志願したと言われています。
大学側から見れば、年内に優秀層を囲い込めるうえ、一般入試前に受験料収入も得られ、
さらに全国的な話題にもなります。
実際、東洋大学の入試は大学業界全体に大きな衝撃を与えました。
そのため、今回、成蹊大学も同じ流れを狙っていたのではないかと思います。
つまり、「総合型選抜」という制度を使いながら、実質的には学力優秀層を早めに確保したかったのでしょう。
しかし、総合型選抜は本来、人物面や意欲、適性などを多面的に評価する制度です。
そのため、文部科学省としては、「学力試験だけで選抜するのであれば、それは一般入試の前倒しではないか」
という問題意識があったのでしょう。その結果、「面接の義務化」という方向性が示されました。
しかし、面接が加わると、純粋な学力選抜ではなくなるうえ、大学側の負担も一気に増えます。
面接官の確保、評価基準の統一、公平性の管理、スケジュール調整まで必要になるからです。
そのため、成蹊大学は「それなら今回は見送ろう」と判断したのでしょう。
これは成蹊大学だけの話ではありません。
日本の大学は、完全にサバイバル時代へ入っています。
少子化で18歳人口は減る一方、大学数は依然として多いままです。
だから大学側は、とにかく早く優秀な受験生を確保したいのです。
その結果として、総合型選抜や学校推薦型選抜、年内入試、基礎学力型推薦などが急速に拡大しています。
実際、今では一般入試だけで学生を集める大学の方が少なくなりつつあります。
そして今回、文部科学省はそこにブレーキをかけました。
もともと総合型選抜は、学力だけでなく、意欲・適性・人物などを
多面的・総合的に評価する制度として位置づけられています。
つまり、「総合型選抜」「学校推薦」の名を使うのであれば、きちんと人物評価も行いなさい、というメッセージです。
では、今後はどうなるのでしょうか。
学力試験に加えて短時間の面接を導入したり、オンライン面接を組み合わせたり、調査書を追加したりして、
年内入試を維持する方向へ進むのか。それとも、年内入試から撤退する大学が増えるのか。
これからの日本を担う若者を育てるためにも、受験生にとっても大学にとっても納得感のある、
合理的な制度となってほしいものです。
