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公立高校併願制について

政府は、公立高校の単願制を見直し、併願制の導入に向けた検討を始めました。
これまで茨城県では、県立高校は原則一校しか受験できませんでしたが、
この仕組みが変わるとなれば、受験生や学校側に与える影響は小さくなさそうです。

まず、成績上位の生徒にとっては、併願制は確実にプラスに働きます。
これまではリスクを恐れて受験を控えていた難関校にも挑戦しやすくなるので、選択肢がぐっと広がります。
当然ながら、偏差値の高い県立高校は競争が激しくなり、合格ラインも上がることが予想されます。

一方、中堅層の生徒にとっては厳しい状況が生まれそうです。
これまでなら合格できた高校にも届かなくなり、より下位の高校を選ばざるを得ないケースが増えるでしょう。
結果として、県立高校ではなく、近隣の私立高校を選ぶ生徒も出てきそうです。

私立高校側も楽観視はできません。
これまでは、県立の難関校に落ちた生徒が私立に進学する流れがありましたが、
併願制が導入されれば、彼らは県立の第二志望や第三志望に合格する可能性が高くなります。
そうなると、私立高校にとっては成績上位層を取り込むことが一段と難しくなるでしょう。
大学進学実績が学校経営に直結している私立にとっては、大きな課題になりそうです。
これからは、特色ある教育や手厚い進学サポートなど、「この学校を選びたい」と思わせる工夫が一層求められます。

試験形式についても見直しが必要になるでしょう。
たとえば愛知県では、県立高校2校への出願が認められており、
マークシート方式による1回の試験で両校の合否判定が行われています。
茨城県でも、入試のマークシート化を含めた制度設計が議論になる可能性があります。

一方で、私立高校も対象とした授業料無償化の議論も進んでいます。
これが実現すれば、これまで経済的理由から県立を選んでいた層も、私立を進路の選択肢に入れるようになるでしょう。
そうなると、偏差値中位・下位層の県立高校では定員割れが増え、統廃合や閉校の動きが本格化するかもしれません。

公立高校併願制の導入は、単なる制度変更ではなく、地域の教育環境そのものを大きく変える可能性を秘めています。
今後の議論では、こうした想定を考慮した上で十分な準備と対策が求められるでしょう。

セルモ つくば本部教室
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